生住昌大 蔵
画題:東京日々新聞 思案橋の暴徒事件
判型:大判錦絵3枚続
画工:静斎芳邨(伊藤静斎)/静斎芳邨
版元:東京・福田熊次郎
彫工:彫工弥太
届日:明治10年12月□日
詞書
思案橋の暴徒事件
去明治九年十月廿九日午後一時過、東京小網町一丁目陸運会社湯沢源七方へ、士族体のもの追々来りて、「下総登戸迄、至急に仕立舟一艘出しくれよ」といふさま、いかにも怪敷ふうていなる故、密に巡査に通しければ、直に警部寺本義久、二等巡査河合好直、三等木村清三、黒野巳之助の四名向はれ、其姓名などたづぬる内、不意に斬かけたれば、「スワ曲者、逃スな」と、サハベル以て戦ふうち、あはれむべし、寺本氏は其場で討死、河合、木村も重傷を負、戦ふうち、黒野氏は浅傷なれば、此よし報知なしたるゆゑ、合図の半鐘打ならし、四方の手配とゞきゆゑ、忽ち賊を捕へたり。元これ会津の藩永岡久茂始め十三人にて、千葉県庁へ不意に押よせ、事をなさんと思ひよし白状に及びける。その場をのがれし四人の者も、越の新潟にて召捕しは、実に天の憎む所なりけり。
(右)山本保之、中原重業、木村新二、高久慎二、高橋弥三郎、巡査河合好直、巡査黒野巳之助
(中)中根米七、高崎政八郎、松本正直、警部寺本義重、巡査木村清三、能見鉄治、
(左)永岡久茂、一柳訪、井上新二郎、満木清繁
所蔵者/掲載図書
生住昌大
小西四郎『錦絵幕末明治の歴史7 士族の反乱』
塩谷七重郎『錦絵で見る西南戦争』