明治10年4月届

山崎年信「鹿児嶌記聞ノ内」

1877-4 年信「鹿児嶌記聞ノ内」
生住昌大 蔵

画題:鹿児嶌記聞ノ内
判型:大判錦絵3枚続
画工:山崎年信(山崎徳三郎)/山崎年信画
版元:東京・福田熊次郎
届日:明治10年4月□日

詞書

経邦ノ智、蓋世ノ勇モ負ムニ足ラズ。無名ノ師、不正ノ暴挙、安ンゾ功ヲ成スヲ得ン。維新ノ偉功ニ依テ、天下ノ人望、己レニ帰セリトスル賊長西郷、戊辰ノ役ノ戦功ヨリ、武勇ヲ以テ自ラ任ズル篠原、桐野等、凶猛血気ノ頑党ヲ募リ、一挙熊本城ヲ陥イレ、九州ヲ席巻スルトカ。旬日ヲ過ギズト図リシモ張巡。楠氏ガ肺肝ヲ得タリシ若キ谷少将ガ防御ス術ニ、徒ラニ数日ヲ囲繞スルニ止リ、進デ豊筑ヲ略奪セントスルモ、官軍出兵ノ迅速ナルガ為ニ、十里ノ外ニ進ムヲ得ズ。就中、二月廿七日、羽間川ノ戦ヒハ、賊軍、兵ヲ二手分チ、正兵ハ川ニ向テ進撃シ、奇兵ノ一隊、河上ヨリ官軍ノ横ヲ襲ヒ、屡々死奮ノ激戦為セシモ、野津少将ガ機ニ臨ミ、変ニ応ズル神出鬼没ノ武略ニ摧カレ、賊軍散々ニ敗北セリ。夫レ驕兵ハ必ズ敗ルト、孫子ノ金言、宜ナル哉。

(右)徳久孝次郎、桐野利秋、尾田啓助、能勢十九郎、別府新助、武中彦、中沢佐七郎
(中)石井孝之助、陸軍野津少将
(左)陸軍三好少将

所蔵者/掲載図書

生住昌大
海の見える杜美術館
鹿児島市立美術館
熊本市博物館
国立国会図書館
玉名市立歴史博物館こころピア