明治10年3月届

画工未詳「(鹿児嶋県)まことの電知」八号

1877-03 「まことの電知」8号
画題:(鹿児嶋県)まことの電知しらせ
判型:大判錦絵
画工:未詳
版元:大阪・鈴木利兵衛
記者:鈴木利兵衛
届日:明治10年3月26日
出版:明治10年4月□日

詞書

こゝに三月十四日のたゝかひは、官兵くわんびやうすゝめられ、中にも警部けいぶめい巡査じゆんさ百名、三手にわかれ、各々おのおの氷のつるぎぬきかざし、白ぬのにて鉢巻はちまきなし、足袋たびはだしのまゝ叱咤おひきさけん真先まつさき駆入かけいり、ぬけざる賊塁ぞくるいを、わづかの内に攻落せめおとしたり。此たゝかひに警部けいぶとらへいつ巡査じゆんさ八人即死そくし、手おい十人、ぞくとること四十五人、ぞく器械きかい弾薬だんやくすて逃去にげさりたり。

戦争がつせんには、田原坂たわらざか植木うへき二ヶ所は暴徒ぼふとうかなめ場所ばしよにて、こゝやぶられてはと、賊将ぞくしやう貴嶋きじま宇太郎、つゞい長山ながやま別府べつふ、河の、松永まつなが弟子でし丸、西郷さいがうなぞ、われおとらじと必死ひつしゆうふるひ、はげしき下地げじつたへ、此処こゝ先途せんど防戦ぼふせんし(た)り。され共、田原坂の賊塁ぞくるい大半だいはん攻取せめとつたり。官軍くわんぐんいつ手は植木うへき攻掛せめかけ、是又はげしき大せんにて勝敗しやうはいわからず。

吉報つゞきて次号つぎおくる。

所蔵者/掲載図書

生住昌大
福岡市博物館