明治10年3月届

画工未詳「(鹿児嶋県)有のそのまゝ」四号

1877-03-05 「有のそのまゝ」4号
生住昌大 蔵

画題:(鹿児嶋県)ありのそのまゝ 四号
判型:大判錦絵
画工:未詳
版元:大阪・金井徳兵衛
届日:明治10年3月5日/同3月出版

詞書

つづいて、御安心のため、鹿児島一件をおしらせ申ますは、三月三日午前六時より、熊本県下の山鹿、高瀬、二タ所の大戦は、昼が夜るやら、夜るがひるやら、わかちなく、高瀬口より打出だされたる官軍は、木の葉口の賊をちりちりに破り、屯所を焼き、台場をうばひ、明る四日と攻わたり、腹切坂と呼び名せる田原坂へと揉だし揉だし、砲台三ヶ所をせめとり、木の根、岩かど、篠藪垣、難所をふみこへ、別軍を早で吉次坂まで進んだり。「熊本より三里」官軍、勇気はじめに増して、植木口の一方も乗とる猛勢。山鹿は、はやく炮だいを築き、海岸河内口の進撃まで、官軍たびたび勝利あり。そもそも、動挙の初めより、野津、三好の両将は、敵の陣前に立向かはれ、所々の急戦、大かたならず。千変万化の軍配は、いさましきことどもにて、已に賊将村田を銃傷に悩ませ、しばしば難戦。ひるまざるは、一騎当千の壮勇とも謂つべし。をいをい吉報を次号に御しらせいたしますから、御あんしんのこと。

所蔵者/掲載図書

生住昌大
海の見える杜美術館
福岡市博物館