生住昌大 蔵
画題:(鹿児島県)有のそのまゝ 初号
判型:大判錦絵
画工:未詳
版元:大阪・金井徳兵衛
編輯:金井徳兵衛
届日:明治10年3月5日届/同3月出版
詞書
そもそも今般鹿児島県下暴挙の発りは、本年一月三十一日夜を初め、県下の弾薬庫へ、逆徒多人数不意に押入り、小銃、弾薬あまた奪取、二月二日、三日の夜には、又も同処へ乱れ入り、堅護の官吏を騒がし、倉庫に残れる物品をことごとく掠め取り、標札を掲け改め、不日郵便太平丸が鹿児嶋港へ帰航、碇泊を見懸け、乗組の官員を引とどめ、兵器をふるふて各所を徘徊するは、容易ならぬ形状のため、高雄丸にて、河村海軍大輔、林内務少補の両公を現状取糺として、鹿児島へむかはれしに、県官への使ひ、属官二員を拘留し、鉄炮をそなへに船を操出して、該船に迫り、筒先を開くべきふるまひに、該舟は纜を解き、近傍の海岸へ碇を投し、大山県令へ事情を糺すに、逆徒は倉庫弾薬を暴挙してより、急を駆り、当時帰県の警察官吏あまたを縛り、忘説を錺り、人心を動かし、兇徒を聚る形跡を見認め、両公帰京、上奏となりたる折柄、去る十八日には、西郷隆盛、桐野利秋、篠原国幹等、政府へ尋問を名とし、凶徒を引率し、兵器を携へ、熊本県下に乱暴し、国を蔑り、治世を妨げる挙動より、すでに征討の御趣意に陥りたるこそ顕然たり。
附て曰 各所の開戦は、続いて図画を報ず。
所蔵者/掲載図書
生住昌大
海の見える杜美術館