浅井金治郎

玉亭芳峰「(鹿児島県)西南実記」七

1877-04 「西南実記」7号
生住昌大 蔵

画題:(鹿児嶋県)西南せいなん実記じつき
判型:大判錦絵
画工:玉亭芳峰(武部安兵衛)/玉亭
版元:大阪・浅井金治郎
記者:浅井金治郎
届日:明治10年4月18日
出版:明治10年4月□日

詞書

偖、去る十五日戦争せんそうには、両軍りやうぐん乱戦らんせんとなり、賊軍ぞくぐんには西郷さいがう小平、なが山九じやう、山うちはん左衛門、中じま武彦たけひこ弟子丸でしまるおふ助なぞ、ひつしの勇をふるひ、火ばなをちらしてたゝかふにぞ。官軍くわんぐんも今は小人ずうにて大井おゝい難戦なんせんおりから、大山おゝやま陸軍りくぐん少将しよしよ、むらがる賊軍ぞくぐんちう突入つきいり無二むじ無三むさんにあれ廻り、激戦げきせんなしたりしが、したがへうはわづか十めいにたらざりしかば、みづから小銃てつぼうとつはなちかけ、味方みかた引上ひきあげ、しづしづと陣営じんゑいかへられたり。あつはり(天晴れ)しよ(賞)すべし。
賊軍ぞくぐんちうしん地雷火じらいくわとなへたけつゝ弐三尺あるは、はこなぞに弾丸薬たま仕込しこみ陣中じんちう不意ふい掛込かけこみ火縄ひなわの火を火口にうつ投込なげこみたるよし。初めの程はかゝりし事もありしが、いま中々なかなかそのだてもむなしく、廿八日の開戦かつせんには、賊将ぞくしやふ児玉こだま少佐しよさ打死うちじにしたり。あとおいおい(追々)(知)らす。

(中央)陸軍大山少将

所蔵者/掲載図書

生住昌大
福岡市博物館