明治10年3月届

画工未詳「(鹿児嶌県)有のそのまゝ」九号

1877-03-05 「有のそのまゝ」9号
生住昌大 蔵

画題:(鹿児嶋県)ありのそのまゝ 九号
判型:大判錦絵
画工:未詳
版元:大阪・金井徳兵衛
届日:明治10年3月5日/同3月出版

詞書

前号につゞく西南の戦撃は、田原坂、植木口の賊を生捕り、大砲小銃を官軍へ分捕ありて、海路より賊勢の背を攻めたるに、賊は散乱し、また八代の士族は、官軍のため勇をふるひ、馳まはる勢ひに、賊兵は隈府へ引揚けるよし。熊本への道は段々開らけ、をいをい田原坂本道、閑道より進撃官軍の勝利数多、塁を抜き取り、平山口の奮戦には、賊の正面より攻立しに、賊隊みだれ、鉾先退き、敗走の色を見せたり。すでに先号にも記載せし西郷は、川尻の本陣を北岡郷にうつしたる折しも、右翼と頼みたる篠原を初め、西郷小平は戦死を告たり。別府新助は深手を負ひたり。賊兵は必死を極め、火薬筒を背負ひ、隙をねらひ、是に火を放せば、自分は微塵に砕け、其一人のため、相手は十七、八名もたをるゝといふ策は、風説すれども、全く空論なるべし。跡はをいをい、次号に。

所蔵者/掲載図書

生住昌大
海の見える杜美術館
鹿児島市立美術館
玉名市立歴史博物館こころピア