明治10年5月届

雷斎年基「文武高名伝 前原一角」

1877-05 年基「文武高名伝 前原一角」
生住昌大 蔵

画題:文武高名伝 前原一角
判型:大判錦絵
画工:雷斎年基(鈴木雷之助)/雷年基
版元:大阪・前田喜兵衛
記者:鈴木雷之助
彫工:彫政
届日:明治10年5月12日

詞書

一角は前原一誠が二弟なり。長州萩の人。幼なる時、衆児に優り、常に闘争を好む驍勇にして、撃剣を能くす。同県士族佐瀬某が養子となり、明治九年十月、兄一誠が同志を募り、兵を長防の間に挙るや、朝廷早くもこの機を察し、伏見親王を総督となして之を討たしむ。一誠、計破れて、遂に石見の宇龍港に捕はれ、刑に付き、与党悉く平ぐ。此時に当てや、一角は遁れて薩摩に在り、再び兄が宿志を続んと、茲に一年、則ち西郷隆盛の馬首を東するに際し、一角、奮然蹴起、三尺有余の豪刀を振ひ、自ら戦陣の前頭に進み、大喝一声呼はつて曰、前原一誠が弟一角は我也、と。敵を斬殺する事、算なし。実に西南無比の猛勇と謂可し。

所蔵者/掲載図書

生住昌大