会田常吉

梅堂国政「真顔像最期之詩歌」

1877-11-06 国政「真顔像最期之詩歌」
生住昌大 蔵

画題:真顔しんがんぞう最期さいご詩歌しいか
判型:大判錦絵2枚続
画工:梅堂国政(竹内栄久)/梅堂国政図
版元:東京・会田常吉
記者:会田常吉
価格:4銭
届日:明治10年11月6日

詞書

御布告
第六十八号
○九州地方賊徒平定候趣、本月二十四日征討総督二品熾仁親王ヨリ電報ヲ以テ奏聞有之候条、此旨布告候事。
明治十年九月廿五日 太政官三条実美
○九月二十三日、官軍四方ヨリ惣攻ヲ以テハゲシク大小砲ニカタメ、翌廿四日迄砲声ノヒヾキタヱマナク、硫石サスガノ〔流石〕賊徒等モ根拠ノ巣穴ニヒソシガ、砲声バウセイヤムヲ合図ニ官軍進撃シタレバ、桐野ハジメ必死ヲ極メ激戦ケツセンナスト雖ドモ、西郷隆盛ハ「運ノキワマル時ナルヤ。ハヤ防戦ノ術ツキ、今ハヨキ時刻ナリ」ト、ヱミヲフクミ坐ニ直リ、一首ノ辞世ジセイヲノコシテ腹一文字カキ切、草葉ノ露ト消ウセケル。カクト聞ヨリ渠魁キヨクワイノ六名退シリゾキ来タリテ、銘々覚悟ヲケツシ、皆一ドニサヒ違ヒ割腹シテ死ス。
○同二十四日、カゴシマノ城山デ戦ヒノトキ、岩崎谷ニ在ツタ賊ノ屍骸シガイノ内ワカツタノハ、西郷隆盛、桐野利秋、村田新八、逸見十郎太、別府新助、桂四郎、池上四郎、其他数十人。西郷クビ実ケンジツ(検)フシ、逆賊トハ言ナガラ、嗚呼アワレハカナキコトト落涙ラクルイセヌモノナカリキ。戦場ニカバネサラシシガ、ケナゲナル名ヲ万世ニナガクノコセリ。

旧陸軍正三位/西郷隆盛/秋討死
世のちりをはらひもやらでふく風にきえ行露の身ぞあはれなる

旧陸軍正五位/桐野利秋/秋討死
花紅葉さそふあらしをいとふまに身のはる秋を見はてつるかな

池上四郎/秋討死
諸鳥に魁見せん月の秋

旧陸軍正五位/篠原国幹/春討死
ちる花とともにかばねはくちぬともにほひをながき世にのこさん

別府新助/秋討死
殺気サツキ軍声グンセイ四面盈シメンニミツ陰風インプウ払地チヲハラツテ血痕腥ケツコンナマグサシタトヒ無身ミタオレテ斃清君クンソクヲキヨムルナシトモ一片イツペンノ丹心タンシン非不冥フメイニアラズ

村田新八/秋討死
クニニ忠於国チウナラントホツスレバキミニ忠君チウナラズ敗後ハイゴマヅ知非コノブンニ是分アラザルヲシルウラムラクハ斬佞ネイシン臣讒ザンプノ夫首クビヲキツテ訴冤コンヲウツタヘ猶未ナオイマダ奏元ゲンクンヲサウセザルヲ

逸見十郎太/秋討死
月代の猶冴へわたる野分かな

所蔵者/掲載図書

生住昌大