明治10年10月届

豊原国周「鹿児嶋新誌」三号

1877-10-03 国周「鹿児嶋新誌」3号
生住昌大 蔵

画題:鹿児嶋新誌 3号
判型:大判錦絵
画工:豊原国周(荒川八十)/豊原国周筆・印
版元:東京・上村清左衛門
記者:長谷川一嶺
彫工:彫工平
価格:2銭3厘
届日:明治10年10月3日

詞書

池邉いけべ吉十郎きちじうらう暴徒ぼうと巨魁きよかい一人いちにんにして、幼少いとけなきより智勇ちゆうするどもつぱ武道ぶどうこのみ、成長せいちやうしたがつい弓馬きうば鎗剣そうけん印可いんかきはむ。唯新いしん〔維新〕のさい朝廷てんちやう屡々しばしばこふそふじて賞典禄しようてんろく弐百五十石をたまふ。明治五年、つとめして本国くまもと立戻たちもどり、鹿児嶋かごしまなる西郷さいがう桐野きりの等もひそかに一策いつさくもうけ、活計くらしため異国いこくふた習の染物そめもの問丸どいや営業ゑいぎやうせんに、染草そめくさ原種たねすと言触いゝふらし、商人あきうどをかたらひ廃刀はいとうおびたゞしく買集かいあつめ其中そのうちより撰出ゑりいだしてあるかたなひそかがせたくわへおき今般こんどの事件じけんもちゐるにいたり、諸人しよにんはじめ遠慮ゑんりよ驚愕おどろき、戦地せんじやうのぞみては奇策はかりごとほどこし、数度たびたびてきやぶりしことあげかぞへがたしとなん。

池邉吉十郎/市川左団次

所蔵者/掲載図書

生住昌大
海の見える杜美術館