生住昌大 蔵
画題:熊城宴会之図
判型:大判錦絵3枚続
画工:進斎(古林栄成)/随需進斎
版元:東京・山中□太郎(山中北郎)
記者:庚谷
価格:6銭
届日:明治10年□月□日
詞書
西陲の叛賊暴威を振ひ、熊城を囲む事、既に数旬。尚ほ之を抜く能わず。是れ固として守将のよく其任を尽し、台兵の精強なるによると。むべなるかな、初春の頃、県下へ薩賊侵入せしより、衆議籠城に決せしかば、士官の細君、県官の内室わ粗入城されしよし。日夜炮声の中に有て、夫君をなぐさめ、三弦のしらべも時々城内に聞へしと。こわ附会の説に属したれども、伝聞のまゝ其一、二を下にしるす。
庚谷写記
春の闇夜に天主の上でキラ〱ひかるわ、アリヤなんじや。あれは熊本籠城すさびにさかせる花火ジヤア、しらないか。
皆さん皆さん、向のあせみちチラチラゆくのわ、アリヤなんじや。あれは賊徒が段山うたれて敗走するのじや、知らないか。
私しも女丈夫、主もろともに城をまくらに春の夜る
主の行衛は白川ばしの、西か東かわかりやせぬ。
某細君の歌
(中)司令長官谷干城、中佐樺山資紀、大書記官品川弥次郎
所蔵者/掲載図書
生住昌大
鹿児島市立美術館
版元の「山本□太郎」は判読できないが、東京の版元山本北郎。住所の「銀座四丁目十四番地」がその根拠となる。