浮世年光「薩日略軍記」

却説とく、暴徒の総将西郷隆盛、肥後の国川尻の本営を引払ひ、人吉に徒を残し、日向延岡の地に仮営を結び、之を根と為し、諸口に手配りの指揮をもつぱらとなす。尚、同国都ノ城はむなしく落入いり、弥以て此城に党集め、必死の軍略令し合、暴将には桐野、村田貴嶋、辺見等、攻撃を防がんと構へたり。官軍には高島少将、旅団を備へ、数千の兵を引率し、整々堂々と攻激せられたり。海岸より谷干城、進撃すとぞ云々。　　内田正鳳記

（右）村田新八、蒲生彦四郎、伊集院早太郎、池辺吉十郎、辺見十郎太、朝男山市五郎、池上四郎、西郷隆盛、伊知地長左衛門、渕辺高照
（中）桐野利秋、貴嶋清
（左）高島少将

生住昌大
久留米大学御井図書館